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独シュワーベ(Schwabe) 社製の「ウンカロアボ」は、同国で最もよく売れている風邪薬です。 南アフリカのぺラルゴニウム・シドイデス(Pelargonium Sidoides)と呼ばれる植物の根の成分から作られます 。ドイツの人々は 安易に抗生物質を服用せずに ウンカロアボで治す、と言われるほど 一般的で、今、最も注目を集めている薬です 。植物由来成分のウンカロアボは、風邪ウイルスを撃退し 、免疫システムを高めるといわれています。
テレビ番組の「NHKスペシャル」でも取り上げられたことから、日本国内でも非常に関心が高まっています。同番組では、 世界各地における新薬の生物資源をめぐる争いの1つとして 、風邪薬「ウンカロアボ」の原料「ペラルゴニウム・シドイデス」の産地、南アフリカを取材。ペラルゴニウム・シドイデスの採取は、現地の人々にとっては貴重な現金の収入源である一方、乱獲が進み、植物が減少しつつあるという内容でした。
剤型はタブレットタイプ(30T)とシロップタイプ(20mL, 50mL, 100mL)があります。
「ペラルゴニウム・シドイデス」はウンカロアボだけか?
ウンカロアボへの関心が高まっていますが、実は韓国にも同じ原材料 「ペラルゴニウム・シドイデス」から作られた医薬品が存在します。韓国ユユ製薬の「ウムカミン(Umckamin) ®シロップ」は、独シュワーベ社 で開発したペラルゴニウム・シドイデス抽出液(EPs®7630)を主成分に、気管支炎、副鼻腔炎、扁桃炎、鼻咽頭炎等の急・慢性呼吸気系感染症の治療剤です。独自の 抗ウィルス、抗菌作用、 去痰作用の3重効果で、90%以上の ウィルス感染に起因する呼吸器系の感染疾患を効果的、かつ安全に治療する医薬品 として知られています。でも韓国のこの製剤はドイツのウンカロアボと違い、医者の処方箋が必要な薬です。
剤型につきましてはシロップタイプで、9mLの個別包装パウチと1リットル(L)のボトルのタイプがあります。
ウムカミン Umckamin®(EPs®7630)
原料成分と分量 100mL中
主成分: ペラルゴニウム・シドイデス
(Pelargonium sidoides extract(別規))→17.16g
(総フェノール量「エピカテキンとして」10.6mg)
保存剤:ソルビン酸カリウム(NF)→117.0mg
形状
プラスティックボトル またはアルミパウチ入りのシロップ剤、
チェリーの香り、薄茶色
薬理作用
1. 抗ウィルス作用「1,2」 |
Umckamin®(EPs®7630)は免疫調節及び細胞保護作用による ウィルス 作用を表し、ウィルス感染の際に インターフェロンなど、サイトカイン 生産を大幅に 増加させ、周辺細胞をウィルス感染から保護。 食細胞作用 の促進と炎症特異的 な化学物質 の調節を通して、非特異的な免疫反応を 強化させます。酸素依存防御メカニズムを活性化し、大食細胞による病原 体の破壊を促します。また、抗酸化及びPDGF(Platelet-Derived Growth Factor)阻害効果により呼吸器系の組織損傷を防ぎます 。 |
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2. 抗菌作用「3,4」 |
Umckamin®(EPs®7630)には抗菌作用があり 、死んだ上皮細胞に細菌を 付着、増加させる間接的な抗菌作用により粘膜下組織へ の細菌侵入を防 止します。また上皮細胞への細菌付着を減少させ、細菌の集合化に対する 防止効果もあります 。 |
3. 去痰作用「5」 |
Umckamin®(EPs®7630)は粘膜繊毛系の繊毛運動(Ciliary Beat Frequency,CBF)を30%以上増加させて、粘液分泌を促進します 。 |
[1] Koch E.et al, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2001;365 Suppl 1:R75
[2] kayser O, Kolodziej H. Planta Med 1997;63:508-10
[3] Frank U. et al.Poster presentation, 23rd International Congress of Chemotherapy,
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[4]Dorfmuller A.et al. Abstract from the congress for Phytopharmaceauticals and
Phytotherapy, Berlin, 2005
[5] Neugebauer P, et al. Phytomedicine 2005;12:46-51
効能効果
急・慢性感染症、特に気管支炎、 副鼻腔炎、扁桃炎、鼻咽頭炎などの呼吸器系及び
耳鼻咽喉部位 の感染症
用法・用量
1. 急性感染時
成人及び12歳以上:1日3回、1回6~9mL 経口服用
6歳以上~12歳未満:1日3回、1回3~6mL 経口服用
6歳未満:1日3回、1回1.5~3mL経口服用
2. 慢性感染又は再発時
成人及び12歳以上:1日3回、1回3~6mL 経口服用
食前30分に経口服用してください。
症状が緩和した後にも再発防止のために数日間服用することをお勧めします。
使用上の注意
1. 次の患者には投与しないでください。
1) 妊婦及び授乳婦
2) 出血傾向が増加している患者
3) 重症の肝疾患及び腎疾患患者
2. 異常反応
1) 胃痛 、ひりひりする 痛み、吐き気、下痢等の胃腸障害が起きることがあります。
2) 歯茎に少量の出血が起こることがあります。
3) 発疹、じんましん、皮膚及び粘膜がかゆくなる等の反応が初回投与時に起きることがあります。
4) 顔面浮腫、呼吸混乱、血圧上昇と共に重い症状が起きることがあります。
5) 肝数値のモニタリングが必須な場合がありますが、本薬品との因果関係は明確ではありません。
3. 相互作用
本薬品 が凝固因子に影響を及ぼす可能性のある 、フェノクロプモン(Phenprocoumon)、ワルファリン
(Wafarin) 等のクマリン系薬品 との併用投与時には凝固阻害増強効果を排除できません。
4. 保管及び取扱上の注意
1) 本製品の有効使用期限は開封後3か月です。
2) 長時間が経過した後、本製品は生薬抽出物であるため混濁する場合がありますが、
薬効に影響はありません。
3) 本製品 は生薬抽出物製剤であるため、色と味が多少変わることがあります。
4) 子供の手の届かない場所に保管してください。
5) 医薬品を元の容器から出して他の容器へ保管する場合、医薬品誤用による事故発生や<医薬品
品質低下の原因となります。元の容器を使用し、しっかりふたを閉めて保管してください。
貯蔵方法
遮光機密容器、実温保管(1~30℃)
包装単位
9mL x 100包、1L/ボトル
製品比較
>> ウムカミン Umckamin®(EPs®7630)の添付文書はこちら
※上記掲載記事に関しましては、日本薬事法務学会が取材させていただきました内容を基に掲載しております。ご不明な点、学術情報につきましてご興味等がございましたら、日本薬事法務学会事務局までご連絡いただければ幸いです。
日本薬事法務学会事務局
(吉田法務事務所内)
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