欧州化粧品規制(76/768/EEC)の変更について

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化粧品規制(Cosmetics Directive 76/768/EEC)は、欧州各国の化粧品規制の統一化を目的として作成されました。1976年の公布以来、7 回の改正、約40回の技術的更新が行なわれています。
CEマーキングの他の指令と同様、欧州の化粧品規制はEUのみにとどまらず、域外への波及も予想されるため、日本企業もその動向を注視していく必要があります。ここでは欧州化粧品規制の変更内容と今後の方向性について述べていきます。

2009年11月30日、同規制は合理化と国際調和(Harmonization)を目的として作り直され(Recast)、現在は2013年の完全施行に向けた移行期間にあります。76/768/EEC の基本原則に大きな変更はなく、欧州市場における事業者の責任と負担が増す内容となっています。

☆今回の最も大きな変更点:
加盟国の法制化を指示する「指令」→欧州委員会(EC)が直接の執行者となる「規則」

・指令(Directive)
加盟国は特定の結果を出すよう要求されるがが、その方法は各国に委ねられる

・規則(Regulation)
EUの組織で唯一、立法や条約管理の権利を持つ欧州委員会(European Commission)が発行。
ECが直接の執行者となる規制

 

■欧州化粧品規制に関わるスケジュール

2009年12月 規制の公開
2010年1月 発行
2010年12月 CMRが禁止配合成分から適応除外
2012年1月 一括届出が可能に
2013年12月 ナノ成分仕様の届出が義務化
2013年7月 全要件が適応
2016年7月 効能表現に関する報告書が提出

 

■化粧品規制の内容について

化粧品規制は条文と付属書から構成されています。本項では、主に条文の概要についてご説明します。
その他の詳細内容につきましては、欧州委員会のウェブサイトをご参照ください。
・条文(Article)
安全性、表示の要件、消費者への適切な情報提供
・付属書(Annex)
配合禁止成分や配合可能成分収載のリスト、動物実験の禁止 等

【 Article 1 定義 】
欧州における化粧品の定義
「人体の外部(皮膚/毛/爪/唇/外部生殖器)または歯/口腔粘膜に接触使用する目的の製剤。限定または主として、清浄、香り付け、外観を変える、体臭を抑える、保護する、良好な状態を保つ、といった一定の機能を果たす」

○変更点
定義の範囲に変更はありませんが、リストが追加され内容がより明確化されました。
・材料、混合物
・市場で入手可能
・責任者(製造者、輸入者、販売者)
・望ましくない効果、深刻な副作用
・紫外フィルター、保存料、色素、ナノマテリアル、整髪料等の具体的な説明

【 Article 2 製品の安全性 】
通常の条件下で使用された場合、健康被害を起こしてはならない

【 Article 3 市場管理 】
加盟国は、必要な施策を投じ、規制に準拠した製品のみを市場に流通させる

○変更点(Article 2&3)
安全性のレベル等に変更はありませんが、文言に若干の変更があります。
・表示言語の変更に関する責任は販売業者にもある(言語の異なる国で流通する場合)
・市販後管理における当局の役割が強化
・統一された電子届出制(承認を待つ必要なし。当局+関連機関への届出を一括で行う)

○届出内容
・製品のカテゴリー
・製品名
・責任者(氏名/所在地)
・生産国(輸入時のみ)
・最初の上市国
・連絡先の担当者
・ナノマテリアル
・CMR(発ガン性、変異原性、生殖毒性物質)
・製品表示(複数国への上市でも1つのみで可)
・パッケージ写真(複数国への上市でも1つのみで可)
・処方の概要(要約で可)

【 Article 4 禁止製品 】
付属書の配合禁止成分リストの成分を含む製品、動物実験を行なった製品、CMRを含む製品、といった内容に大きな変更はありません。

○変更点
・すべてのCMRの禁止から、一部のCMRを許容へ
・染毛料については、将来的に配合が可能に
・ナノマテリアルについては、特別な事前通知制を採用

【 Article 6 消費者への情報 】
一般的な効能表示に関する内容であり、具体的な単語を取り締まる内容ではありません。2016年に欧州議会及び欧州委員会に経過報告書が提出されますが、その際に何らかの問題点が認識された場合は規制が改正される可能性もありますので、継続的に注視する必要があります。

○表示内容
・会社名及び所在地
・容量
・開封後の有効期限
・使用上の注意
・バッチ番号(トレーサビリティの保証)
・製品の機能
・成分リスト

○変更点
・参照文献として、EU Inventory(目録)より単純化されたGlossary(用語集)を作成。
内容も頻繁に更新
・有効期限の表示にシンボルを採用(例:砂時計)
・ナノラべリング(ナノマテリアルであることが分かるような成分表示。
但し、ナノ成分の表示は「注意」ではなく、あくまで情報提供の形で行なうこと)
・広告表示については、誤認表示を避ける

【 Article 7a 製品情報 】
当局に情報を求められた場合、上市の責任を負う者はその情報をすぐに提供しなければなりません。そのため、情報はすぐに提出できる状態で、欧州内のどこか1か所にまとめて保管しておく必要があります。

○情報内容
・製剤処方
・物理化学的、微生物学的詳細
・製造方法(GMP)
・安全性評価
・評価者の氏名/所在地
・望ましくない効果
・効果の証明
・動物実験の日付

○変更点
・情報の内容やフォーマットがより明確化
・製品の安全性に関わる内容(安全性評価含む)は「Cosmetic Safety Report」に含む
・安全性評価を行なう人の能力について明示(EU以外でも可能に)

 

参考ウェブサイト:
>> European Commission (Review of Cosmetics Directive)

 

※上記掲載記事に関しましては、日本薬事法務学会が取材させていただきました内容を基に掲載しております。ご不明な点、学術情報につきましてご興味等がございましたら、日本薬事法務学会事務局までご連絡いただければ幸いです。

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