【韓国】肥満治療剤(シブトラミン)の販売中止

 食品医薬品安全庁(KFDA)は、中央薬剤師審議委員会諮問(10月13日)を経て肥満治療剤のシブトラミンに対し、最終販売中止及び自発的回収勧告措置をすると発表した。これは、韓国国内で2010年7月に市販した後、許可肥満基準外の患者処方使用禁止、誤濫用の懸念のある医薬品指定等の安全管理を大幅に強化。外国の新しい証拠が収集されれば、安全性措置を再論議するとしながら、市販維持を決めたシブトラミンの開発元である米エボット社が10月9日、FDAの「処方・使用中止及び自発的回収勧告」を収容することに対する後続措置である。

 米国のFDAでは、エボット社が提出したSCOUT報告書(※)と同社が提出したシブトラミン(米製品名:マリディア)を使用する際、危険を緩和させるための戦略(REMS※)を総合的に検討した結果、 同製品を使用することによる有益性が危険性を超えると判断できないと表明。これをエボット社が収容したものである。

※SCOUT(Sibutramine Cardiovascular Outcome Trial) シブトラミン心血関係影響評価(EUの許可条件によってエボット社が2003-2009に実施)
※REMS(Risk Evaluation & Mitigation Strategy) – 市販後の危険緩和戦略

 9月15-16日、16人の諮問委員により構成されたFDA諮問委員会の「販売持続可否に対する論議」及び表決の結果、持続維持が8人、市販中止が8人の結果をFDAに提出したが、FDAでは米国内副作用システム(AERS※) 分析結果と諮問委員会結果を総合した結果、エボット社の危険緩和戦略(REMS)が施行されても有益性よりは危険性が大きいとの判断。米国の決定以後の10月10日、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、香港が10月10日に自発的な市場撤収または販売中止などの措置をとった。

※AERS ; Adverse Event Reporting System – 自発的副作用報告システム

 KFDAによると、当初のSCOUT報告内容分析、韓国国内副作用発生現況、同製品処方及び使用実態を基盤で決めた7月の市販維持及び市販後管理強化の以後から現在に至るまでに特別な副作用等の国内状況に変わったことはないが、米国が国内で運営している副作用システム(AERS)を通じ、自国開発該当製品の有益性が副作用危険を上回らないと判断し、これを開発元が収容することで追加措置している。

 この追加措置により、今後は医者と薬剤師は処方及び調剤を中断。その間、この薬を服用していた患者は服用中止をし、体重減量及び維持のために他の代替プログラムを専門医と相談するよう勧告。KFDAは非向精神性肥満治療剤であるシブトラミンが市場で退出されることになり、肥満治療剤が誤・濫用されている国内情況上、現在市販中の向精神性肥満治療剤への使用転換可能性が予測されることにより、同製品群に対する総合管理方案も早めに準備する計画である。また、非向精神肥満治療剤に対する最善の管理方案を総合的に検討するため、各界各層の多様な意見収集(肥満学会、専門家及び消費者団体等)を始める一方で、 向精神性肥満治療剤の過多処方などの使用実態、許可範囲内の使用遵守可否及び再評価もあわせて検討する予定である。

 参考までに、米国、ドイツ、チェコ、デンマークを除くほとんどの欧州国家では向精神性肥満治療剤を使用していないことが確認されている。

 KFDAは、今回の事例を含む国内の医薬品副作用情報収集及び処理過程が、米国や欧州等の先進国に比べて自主的判断能力が十分でないという指摘に対し、改善するための多様な努力を通じて先進的システムを早期に構築すると述べた。

参考URL: 2010.10.14 KFDAニュース
http://kfda.korea.kr/gonews/branch.do?act=detailView&dataId=155692520&sectionId=p_sec_1&type=news&currPage=1&flComment=1&flReply=0