【韓国】医薬品安全管理院が国会通過、年内に設立予定

 食品医薬品安全庁(KFDA)は、医薬品の使用過程で発生した副作用情報を体系的に管理し、韓国国内の薬化事故予防システムを向上させるための「韓国医薬品安全管理院」の設立に関する薬事法改正案が4月に国会を通過したことを明らかにした。
管理院の主な機能としては、医薬品の副作用因果関係の調査、副作用の報告サイト開設と運営、医薬品安全性情報の収集・分析評価・提供、医薬品DUR情報の生産加工の提供である。

 一般的に、医薬品は通常の使用範囲で副作用が発生するため、副作用情報を迅速に収集評価し、対策が必要となる。韓国では、専任の専門機関や人材が不足しており主に米国や欧州の先進国の措置に依存してきたのが実情であった。

 昨年、KFDAは計4,713件の安全性情報に基づき、1,130品目(115成分)の許可変更、安全性書簡(速報)発行26件(1,063項目)、市販停止3件(102品目)、参考情報活用612件等の安全措置を取っている。最近では、肥満治療薬として広く使用されていたシブトラミン製剤と糖尿病治療薬であるアバンディア錠が心血管系副作用として市販停止、または使用制限の措置がとられている。

 これまで韓国では、副作用の報告活性化のために2006年より総合病院を中心とした地域薬物監視センターの設置と運営(現在20ヵ所)を行なっている。また、自発的な副作用の報告件数が、先進国の水準(2009年2万6,827件、2010年5万3,854件)に達したが、報告内容を専門的に管理するインフラは不足していることから、その活用が不十分であり、今回の「韓国医薬品安全管理院」新設法案通過により、国会で立法発議から7年ぶりに自主的な医薬品安全性情報を処理するための足場が作られ始めたといえる。

 「韓国医薬品安全管理院」は、韓国国内外の許可情報および臨床文献等をもとに、「医薬品の適正使用情報(DUR)」を早急に開発することで、医師や薬剤師に薬の処方、調製時の医薬品の安全性に関連する情報を提供し、不適切な薬物使用による薬化事故を事前に予防する。

 これまでにKFDAが作成した「医薬品の適正使用情報(DUR)」を保健福祉部と健康保険審査評価院で活用し、昨年から全国の病院医院はもちろん、薬局などに拡大して提供しているが、現在はまだ2,000件である。(米国は2万件)同管理院が設立されれば、本格的にDUR情報の開発が進められることとなる。
※適正使用情報の例
併用禁忌:同時に処方あるいは調剤してはならない医薬品の組み合わせ
年齢禁忌:一部の年齢(小児)で、深刻な副作用を引き起こしたり、安全性が確保されていない医薬品
妊婦禁忌:胎児への深刻な副作用(胎児の奇形や胎児毒性)を誘発または誘発可能性が高い医薬品

 KFDAは、医薬品安全管理院が医薬品の安全性問題に対する先制的で主導的な役割を果たすとし、医療現場で活用されている医薬品の適正使用情報(DUR)の開発と医療事故と区別されている薬化事故の該当有無等の原因究明を通じた医薬品副作用被害低減化と国民医療費の削減を期待している。

 KFDAは医薬品安全管理院の設立を推進TFTと設定し、必要な専門人材の確保等の機関設立案を迅速に準備する一方、企画財政部の予算に関する事項を協議する機関の設立準備に万全を尽くすという。

2011.5.6 KFDAニュース
http://www.kfda.go.kr/index.kfda?mid=56&pageNo=1&seq=15011&cmd=v